浜松市の木野寿久税理士事務所です。
豊橋市の方も受託可能です。
さて、
新型コロナウィルスにより
申告書等の提出及び納付が
困難と認められる場合には、
災害等の個別延長の申請により
国税の申告期限と納付期限を延長する
ことができます。(2022年7月16日において確認)
この場合に、
特に注意したほうが良い点も交えながら
解説をしていきますので
しばらくの間、お付き合いください。
具体的な内容については
ブログの下部に記載してあります。
なお、
相続税に関しては、遺産分割成立or不成立かによって
取扱が異なりますので、別のブログ記事にしました。
以下に記載しておきますので、併せてお読みください。
それから、中間申告書の場合には、
中間申告書の提出がないと前事業年度等の実績による中間申告書の
提出があったものとみなされてしまいましすので、
事前に所轄の税務署に一報を入れて災害等の延長申請書の提出の
指示を仰いだほうがいいかもしれません。
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今後の状況によっては、
新型コロナウィルス感染症が
感染症法の2類から5類に変更された場合は、
取扱が変更になる可能性がございます。
ご注意ください!
(2022年7月16日の法令通達の規定により
記載しております。)
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『目次』(クリックすると記事に移動します。)
4.申告書の提出及び納付に関する個別延長(新型コロナウィルスの例で)
新型コロナウィルス感染症などの
「災害による申告納付等の期限の延長」については、
どこにの法律に定められているのかといいますと、
国税通則法第11条(災害等による期限の延長)にあります。
それでは、みてみましょう。
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国税通則法第11条(災害等による期限の延長)
第十一条 国税庁長官、国税不服審判所長、国税局長、税務署長又は税関長は、災害その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるときは、政令で定めるところにより、その理由のやんだ日から二月以内に限り、当該期限を延長することができる。====================================================================================================
災害その他やむを得ない理由により、申告等の期限までに
これらの行為をすることができないと税務署長等が認めるときは、
理由がやんだ日から2ケ月以内に限って期限を延長することができます。
国税通則法は、国税(法人税、消費税、所得税、相続税など)について
個別の法律に申告納付等の手続が書かれている規定もあるのですが、
共通している内容も多いため、
申告納付等の総括的、横断的な取り扱いを定めています。
個別の税法に規定がない国税に関する手続きについては、
国税通則法を参照していただくような運用です。
具体的な申請等については、
政令に委任しています。
では、
国税通則法施行令第3条(災害等による期限の延長)をみてみましょう。
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国税通則法施行令第3条(災害等による期限の延長)
第三条 国税庁長官は、都道府県の全部又は一部にわたり災害その他やむを得ない理由により、法第十一条(災害等による期限の延長)に規定する期限までに同条に規定する行為をすることができないと認める場合には、地域及び期日を指定して当該期限を延長するものとする。2 国税庁長官は、災害その他やむを得ない理由により、法第十一条に規定する期限までに同条に規定する行為をすべき者(前項の規定の適用がある者を除く。)であつて当該期限までに当該行為のうち特定の税目に係る国税に関する法律又は情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第六条第一項(電子情報処理組織による申請等)の規定により電子情報処理組織を使用して行う申告その他の特定の税目に係る特定の行為をすることができないと認める者(以下この項において「対象者」という。)が多数に上ると認める場合には、対象者の範囲及び期日を指定して当該期限を延長するものとする。3 国税庁長官、国税不服審判所長、国税局長、税務署長又は税関長は、災害その他やむを得ない理由により、法第十一条に規定する期限までに同条に規定する行為をすることができないと認める場合には、前二項の規定の適用がある場合を除き、当該行為をすべき者の申請により、期日を指定して当該期限を延長するものとする。4 前項の申請は、法第十一条に規定する理由がやんだ後相当の期間内に、その理由を記載した書面でしなければならない。===================================================================================================
1.施行令第3条第1項について
国税通則法施行令第3条第1項は、都道府県を跨ぐような大きな災害等の延長申請です。
この場合は、国税庁長官が地域及び期日を指定して申告納付等の期限を延長し、
「国税庁告知第〇号」として公表されます。
この延長のことを俗に「地域指定による延長」といいます。
例としては、
「平成23年東日本大震災」
「平成30年北海道胆振東部地震」
などがあります。
2.施行令第3条第2項について
国税通則法施行令第3条第2項は、第1項よりも少し狭い範囲内での災害等の延長申請です。
こちらは、「対象者指定による延長」といわれています。
第2項の書きぶりをみると、
e-Taxのシステム障害を想定して設けられているようですね。
そこで、第2項の例になるものはないのか?と、
国税庁のHPで災害関連情報を探してみましたが、
最近のもので国税通則法施行令第3条第2項を適用している災害等は、
ございませんでした。
ところで、
令和3年分の所得税の確定申告の時期に発生した
「令和4年3月14日から令和4年3月15日に発生したe-Taxのシステム障害による申告納付等の延長」は、
「個別指定による延長」で行っていました。
3.施行令第3条第3項について
国税通則法施行令第3条第3項は、災害等を受けた対象者が個別に延長の申請を行う規定です。
この延長を俗に、「個別指定による延長」といいます。
今回のブログ記事で中心となる内容になります。
国税通則法第11条において、「災害その他やむを得ない理由」と
ありますが、具体的にはどのようなことを指すのでしょうか?
国税通則法基本通達第11条関係(災害その他やむを得ない理由)に
記載されております。
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国税通則法基本通達第11条関係(災害その他やむを得ない理由)
1 この条の「災害その他やむを得ない理由」とは、国税に関する法令に基づく申告、申請、請求、届出、その他書類の提出、納付または徴収に関する行為(以下この条関係において「申告等」という。)の不能に直接因果関係を有するおおむね次に掲げる事実をいい、これらの事実に基因して資金不足を生じたため、納付ができない場合は含まない。
(1) 地震、暴風、豪雨、豪雪、津波、落雷、地滑りその他の自然現象の異変による災害
(2) 火災、火薬類の爆発、ガス爆発、交通途絶その他の人為による異常な災害
(3) 申告等をする者の重傷病、申告等に用いる電子情報処理組織(行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律第三条第一項に規定する電子情報処理組織をいう。)で国税庁が運用するものの期限間際の使用不能その他の自己の責めに帰さないやむを得ない事実
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「災害その他やむを得ない理由」とは、
主に、自然災害、火災、爆発、交通断絶、人為的な災害
申告等をする者の重疾病、e-Taxのシステムトラブルが該当します。
意外だったのが、
代表取締役が病気又は傷害により入院をして
状況が意識不明の重体あるときは、
災害等の延長申請が認められる可能性があるのですね。
もちろん、代表取締役の意識がある状態でしたら
期限までに提出及び納付が必要ということですね。
実は、以前、
関与先様で代表取締役の方が申告期限月に入院されました。
幸いに意識がある状況でしたので
入院中の代表取締役の方の病室をお伺いして、
決算及び申告内容の承認を頂いたことがあります。
そこまでしなくちゃいけないのかな?
と思いながら承認をいただきました。
ところで、新型コロナウィルスに感染した場合、
又は濃厚接触者に該当し、自宅待機となった場合
には、「災害その他やむを得ない理由(2022年7月16日現在)」に
該当するようです。
今後、感染症法の類型が2類から5塁に
変更になると取扱が変更になりかもしれません。
税理士の業界に比較的長くおりますが、
この災害等の延長の申請書の提出順序は、
一般的な感覚とは少し異なるので注意が必要です。
災害等の申請書が先で、申告納付が後だと
思っていましたが、違います!!!
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災害等に係る申告納付等が、先!
災害等の延長の申請書の提出は、後!
です。(同時提出納付もあり!)
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災害等に係る申告納付等が、先!
災害等の延長の申請書の提出は、後!
であることを確認するために
例を設けてみました。
設例の内容を線表にしました。
少し、雑な線表ですが、お付き合いください。
<1.設例の概況>
経理事務を担当する会社の従業員が
新型コロナウィルスに感染したため、
X1年4月1日からX2年3月31日までの事業年度(3月決算法人)における
消費税、法人税などの確定申告書を提出期限(X2年5月31日)までに
提出することができず、
「災害等の期限延長申請書」の提出により
申告期限と納付期限の延長する場合です。
<2.設例での時系列の状況>
1.経理担当の従業員が新型コロナウィルスに感染(X2年5月10日)
2.新型コロナウィルスが治癒し、会社へ出勤(X2年5月23日)したが、
決算作業が膨大なため申告及び納付の期限(X2年5月31日)までに
行うことができなかった。
3.法人の確定申告書を「X2年6月4日」に提出し、
金融機関へ納税を完了「X2年6月5日」した。
4.経理担当者が新型コロナウィルスの感染したことによる
「災害による申告、納付等の期限延長申請書」の表題へ
「自X2年5月10日 至X2年6月5日」の
「新型コロナウィルスにより被害を受けましたので」と記載した。
「申請期限」は、申告書提出日又は納付日のいずれか遅い日である
「X2年6月5日」として記入し、
「X2年6月7日」に「災害による申告、納付等の期限延長申請書」申請書の提出を行った。
<3.申請書の記載の仕方(表題部分)>
申請書の表題部は、こうなります。
<3.申請書の記載の仕方(申請期限等の部分)>
申請書の申請期限等は、以下のようになります。
災害等の理由がやんだ日は、新型コロナウィルス感染症による
確定申告書の提出して一連の災害等の理由がやんだ。
税金の納税が完了して一連の災害等の理由がやんだ。
つまり、遅延した理由がやんだ日、
申告書を提出した日又は納税が完了した日のいずれか遅い日になるようです。
<4.まとめ>
申告書を提出して、その申告書に係る納税が完了してから
災害等の期限の延長の申請書を提出(同時提出納付もありです。)することになります。
最後までお読みいただきまして
ありがとうございました。
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<参考資料>
国税庁HP 国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ
(2022年7月16日確認)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/faq/index.htm