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基礎控除額以下だけど、又は相続税額が出ないけれど、相続税の確定申告書を提出する義務がある場合【相続税】

2022/7/8

まえがき

浜松市の木野寿久税理士事務所です。

豊橋市の方も受託可能です。

 

さて、

相続財産の価額の合計額が相続税の基礎控除額以下である場合には、

相続税の確定申告書を提出する必要はないのですが・・・。

 

しかし、

相続税の課税価格の減額の特例を適用することによってはじめて、

相続税の課税価格の合計額が基礎控除以下になった。

また、

相続税の課税価格の合計額が基礎控除の額を超えるのだけど、

相続税の配偶者の税額の軽減により相続税額が算出されないこととなった。

 

上記2つの場合には、相続税の確定申告書を提出しなければいけません。

 

相続税の確定申告書の提出義務について

このブログをご覧の方に

ご理解していただこうと思いまして

今回、解説をいたしますので、ご覧くださいませ。

 

相続税の基礎控除とは?

まずは、相続税の確定申告書の提出義務のことを書く前に、

申告書の提出義務のポイントとなる相続税の基礎控除について

触れておきます。

 

相続税の基礎控除の正式名称は、「遺産に係る基礎控除」といいます。

相続税法第15条1項(遺産に係る基礎控除)に定められていますので、みてみましょう。
 

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相続税法第15条1項(遺産に係る基礎控除)
第十五条 相続税の総額を計算する場合においては、同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格(第十九条の規定の適用がある場合には、同条の規定により相続税の課税価格とみなされた金額。次条から第十八条まで及び第十九条の二において同じ。)の合計額から三千万円と六百万円に当該被相続人の相続人の数を乗じて算出した金額との合計額(以下「遺産に係る基礎控除額」という。)を控除する
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上記の条文のポイントをピックアップしました。

相続税にご関心がある方でしたらご存知な算式ですね。

以下に記載しました。

======================================

相続税の基礎控除(遺産に係る基礎控除)=3,000万円+600万円×法定相続人の数

======================================

 

例えば、

法定相続人が3人の場合の

相続税の基礎控除(遺産に係る基礎控除)は、

4,800万円(=3,000万円+600万円×3人)

となります。

この場合、相続税の課税価格の合計額が

4,800万円以下ならば、

相続税の確定申告書の提出義務はありませんよ!

ということです。

 

なお、

「法定相続人の数」には、細かく規定があるのですか、

今回の説明では、割愛させていただきます。

 

 

 

小規模宅地等の課税価格の減額特例、配偶者の相続税額の軽減は、

相続財産の遺産分割をし、

相続税の申告書及び書類等を提出して、はじめて特例の適用がある!

 

====================

「配偶者の相続税額の軽減」を適用して

相続税額が出ないから、

確定申告書を提出しなくていいや!

====================

 

====================

小規模宅地等の減額を適用して

相続税の課税価格の合計額を計算すると、

相続税の基礎控除額以下になったから

相続税の確定申告書を提出しなくて

いいじゃないの?

====================

とお考えの方がいらっしゃいます。

 

実は、それは、間違いです!

 

これらの特例を受けるためには、

相続税の確定申告書及び一定書類の提出が必要なのです。

 

 

相続税の配偶者の税額の軽減の手続の要件は?

相続税法に規定する配偶者の税額の軽減の申告要件の規定は、

どうなっているでしょうか?

 

正式名称は、「配偶者に対する相続税額の軽減」といいます。

相続税法第19条の2第1項には、(配偶者に対する相続税額の軽減)の内容が書かれていますが、

どういう手続きが必要なのか?という手続規定は、相続税法第19条の2第3項に書かれています。

それでは、みてみましょう。

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(配偶者に対する相続税額の軽減)
第十九条の二

3 第一項の規定は第二十七条の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書及びこれらの申告書に係る修正申告書を含む。第五項において同じ。)又は国税通則法第二十三条第三項(更正の請求)に規定する更正請求書、第一項の規定の適用を受ける旨及び同項各号に掲げる金額の計算に関する明細の記載をした書類その他の財務省令で定める書類の添付がある場合に限り適用する

==========================================================

「第1項の規定は、申告書に一定の書類の添付がある場合に限り、適用する。」

と、なっています。

つまり、

「相続税の配偶者の税額の軽減」の適用を受けたいのでしたら、

申告書及び一定書類を提出してくださいね。

ということなのです。

 

小規模宅地等の課税価格の減額特例の手続の要件は?

それから、

相続税の課税価格の計算で減額インパクトがある

「小規模宅地等の課税価格の減額特例」についてです。

正式名称は、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」といいます。

この規定は、租税特別措置法第69条の4に書かれているのですが、

適用を受けるための手続規定は、租税特別措置法第69条の4第7項に書かれています。

それでは、みてみましょう。

==========================================================

(小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例)
第六十九条の四

7 第一項の規定は、同項の規定の適用を受けようとする者の当該相続又は遺贈に係る相続税法第二十七条又は第二十九条の規定による申告書(これらの申告書に係る期限後申告書及びこれらの申告書に係る修正申告書を含む。次項において「相続税の申告書」という。)第一項の規定の適用を受けようとする旨を記載し、同項の規定による計算に関する明細書その他の財務省令で定める書類の添付がある場合に限り適用する

==========================================================

「第1項の規定は、申告書に一定の書類の添付がある場合に限り、適用する。」

と、書かれていますね。

「配偶者に対する相続税の税額の軽減」と同様に、

「小規模宅地等の相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けたければ、

申告書及び一定書類を提出してくださいね。

ということなのです。

 

 

 

 

相続財産に生命保険金等及び退職手当金等がある場合には申告義務はどうなるの?

相続財産の全てが相続税の対象となる

一定の生命保険金等又は、

一定の退職手当金等であった場合には、

どのような取扱になるのでしょうか?

下に例をあげてみました。

 

例えば、

法定相続人3人、遺産に係る基礎控除4,800万円

相続人が取得した相続税の課税対象となる一定の生命保険金等 2,500万円

相続人が取得した相続税の課税対象となる一定の退職手当金等 2,500万円

とした場合には、どのような取扱となるのでしょうか?

 

1)生命保険金等

   2,500万円-1,500万円(500万円×3人)=1,000万円

2)退職手当金等

   2,500万円-1,500万円(500万円×3人)=1,000万円

3)相続税の課税価格の合計額

  1)+2)=2,000万円

4)遺産に係る基礎控除

  3,000万円+600万円×3人=4,800万円

5) 課税遺産総額

  3)-4)<0円 ゆえに0円となります。 

 

実を言いますと、

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この場合には、相続税の確定申告書の提出義務はありません。

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なぜかといえば、

===========================

相続人が取得した相続税の課税対象となる

一定の生命保険金等及び

一定の退職手当金等のうち

一定の部分の金額は、

相続税の非課税となるからです。

===========================

 

この規定は、どこにあるのかといいますと、

相続税法第12条(相続税の非課税財産)に記載されています。(確か?昔は第9条だったような気がしました。)

条文を読んでみることにしましょう。

ただし、条文の原文に

「(法定相続人の数)」「(生命保険金等の非課税)」「(退職手当金等の非課税)」をわかりやすいように追加しています。

「退職手当金等」の解説は、「生命保険金等」と同様な内容となりますので説明を割愛させていただきます。

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相続税法第12条(相続税の非課税財産)
第十二条 次に掲げる財産の価額は相続税の課税価格に算入しない
(生命保険金等の非課税)
五 相続人の取得した第三条第一項第一号に掲げる保険金(前号に掲げるものを除く。以下この号において同じ。)についてはイ又はロに掲げる場合の区分に応じイ又はロに定める金額に相当する部分
 
イ 第三条第一項第一号の被相続人のすべての相続人が取得した同号に掲げる保険金の合計額が五百万円に当該被相続人の第十五条第二項に規定する相続人の数(法定相続人の数)を乗じて算出した金額(ロにおいて「保険金の非課税限度額」という。)以下である場合 当該相続人の取得した保険金の金額
 
ロ イに規定する合計額が当該保険金の非課税限度額を超える場合 当該保険金の非課税限度額に当該合計額のうちに当該相続人の取得した保険金の合計額の占める割合を乗じて算出した金額
(退職手当金等の非課税)
六 相続人の取得した第三条第一項第二号に掲げる給与(以下この号において「退職手当金等」という。)については、イ又はロに掲げる場合の区分に応じ、イ又はロに定める金額に相当する部分
 
イ 第三条第一項第二号の被相続人のすべての相続人が取得した退職手当金等の合計額が五百万円に当該被相続人の第十五条第二項に規定する相続人の数(法定相続人の数)を乗じて算出した金額(ロにおいて「退職手当金等の非課税限度額」という。)以下である場合 当該相続人の取得した退職手当金等の金額
 
ロ イに規定する合計額が当該退職手当金等の非課税限度額を超える場合 当該退職手当金等の非課税限度額に当該合計額のうちに当該相続人の取得した退職手当金等の合計額の占める割合を乗じて算出した金額

==========================================================

 

相続人が取得した一定の保険金のうち

一定の部分については、

相続税の課税価格に算入しない、

となっていますね。

つまり、

相続税の非課税ということです。

 

 

ところで、設例では、

相続税の課税価格の合計額が

遺産に係る基礎控除以下でしたが、

相続税の課税価格の合計額が

遺産に係る基礎控除を超える場合には、

もちろん、

相続税の確定申告書の提出義務があります。

 

 

このように判断すれば、ほぼ間違いないかも!

ということで、まとめです。

=============================

「小規模宅地等の課税価格の減額の特例」を適用をしないで、

「相続税の課税価格の合計額」を計算する。

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相続税の課税対象となる

一定の生命保険金等又は、

一定の退職手当金等がある場合については、

「生命保険金等の非課税」「退職手当金等の非課税」を控除して

「相続税の課税価格の合計額」を計算する。

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その計算した「相続税の課税価格の合計額」が

「遺産に係る基礎控除」を超える場合・・・・申告義務あり

「遺産に係る基礎控除」を超えない場合・・・申告義務なし

という判断をしていけば、一般的な相続については、

ほぼ間違いはないのでは?と思います。

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最後に

相続税の課税価格の合計額が

基礎控除の額を上回るか?微妙だというときは、

相続税の確定申告書を提出しておいたほうが

よいかもしれません。

 

 

手前味噌ではございますが、

中小法人、個人事業者の確定申告書だけでなく

相続税の確定申告書の作成(非上場株の株価評価も!)も、

木野寿久税理士事務所で一貫して作成しておりますので

ご安心ください。

相続税の確定申告のご依頼も受け付けておりますので

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最後までお読みいただきまして

ありがとうございました。



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