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司法書士の先生の消費税の理屈と計算及び登録免許税・印紙税の会計処理の取扱【消費税】

2022/5/10

はじめに

司法書士の先生は、登録免許税又は印紙税の金額が

人件費、家賃と共に大きな金額なのではないでしょうか?

 

そこで、

司法書士の先生がご自分の事業の取引の仕訳を入力するときに

お客様に請求書の登記の印紙代を立替金として区分経理するのか?

それとも、

立替金として区分経理せずに合算額で経理するのか?

 

さらに、

会計処理と消費税の計算について考えてみたいと思います。

 

今回は、司法書士の先生の消費税の取扱に的を絞った

記事になりましたが、お付き合いくださいませ。

 

請求書の記載例

ほとんどの司法書士の先生の報酬の請求書の形式は、

統一されているようで、ほぼ以下のような形式です。

登録免許税等の金額が区分記載されておりますね。

 

 

 

 

消費税法における理屈はどうなっている?

では、会計処理の仕訳のことを考える前に

司法書士の先生が司法書士業務を行い消費税が課税される理屈は

どのようになっているのか考えてみましょう。

 

まず、消費税が課税されるものについて

消費税法第4条1項(課税の対象)には、次のように書かれています。

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消費税法第4条1項

1 国内において事業者が行つた資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第三項において同じ。)及び特定仕入れ(事業として他の者から受けた特定資産の譲渡等をいう。以下この章において同じ。)には、この法律により、消費税を課する

==========================================================

 

国内において事業者が行った資産の譲渡等には消費税を課する。となっていますね。

こういうのは、課税の対象となりますよ!ということです。

 

それで、

消費税の判定で重要なものが、

「国内において事業者が行った」か否か?です。

つまり、国内取引に該当するかどうかも課税のポイントとなりますので

どのようになっているか考えましょう。

 

消費税法第4条3項(国内取引の判定)には、次のように書かれています。

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消費税法第4条3項
3 資産の譲渡等が国内において行われたかどうかの判定は次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める場所が国内にあるかどうかにより行うものとする。ただし、第三号に掲げる場合において、同号に定める場所がないときは、当該資産の譲渡等は国内以外の地域で行われたものとする。
一 資産の譲渡又は貸付けである場合 当該譲渡又は貸付けが行われる時において当該資産が所在していた場所(当該資産が船舶、航空機、鉱業権、特許権、著作権、国債証券、株券その他の資産でその所在していた場所が明らかでないものとして政令で定めるものである場合には、政令で定める場所)
二 役務の提供である場合(次号に掲げる場合を除く。) 当該役務の提供が行われた場所(当該役務の提供が国際運輸、国際通信その他の役務の提供で当該役務の提供が行われた場所が明らかでないものとして政令で定めるものである場合には、政令で定める場所)
三 電気通信利用役務の提供である場合 当該電気通信利用役務の提供を受ける者の住所若しくは居所(現在まで引き続いて一年以上居住する場所をいう。)又は本店若しくは主たる事務所の所在地

==========================================================

司法書士の先生の場合には、

司法書士業務は、役務の提供に該当しますので

「役務の提供が行われた場所」が国内か国外かにより判定します。

通常、書類作成等は国内の事務所等で行われると思いますので、

国内取引に該当します。

 

 

そして、

消費税法第4条1項において国内において事業者が行った「資産の譲渡等」には消費税を課する

となっていますが、「資産の譲渡等」とは何のことなのでしょうか?

消費税法第2条1項8号(資産の譲渡等)には、以下のように書かれています。

==========================================================

消費税法第2条1項8号(定義)

資産の譲渡等 事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供(代物弁済による資産の譲渡その他対価を得て行われる資産の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供に類する行為として政令で定めるものを含む。)をいう。

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「資産の譲渡等」とは、

事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供をいいますね。

例えば、

建物や業務用車両の売却、事務所の賃貸借、ホテルでの宿泊

などがありますね。

司法書士の先生の場合には、書類作成等の役務提供が該当します。

 

 

それから、

消費税には、

消費税の課税対象となるのだけれど

社会政策的な理由などから消費税が課税されないもの(非課税)もあります。

 

そこで、消費税の課税の対象となるのですが、

消費税が課税されるもの、課税されないもの(非課税)があります。

どのような区分になっているのでしょうか?

 

消費税法第2条1項9号(課税資産の譲渡等)には、次にように書かれています。

==========================================================

消費税法第2条1項9号(定義)

九 課税資産の譲渡等 資産の譲渡等のうち、第六条第一項の規定により消費税を課さないこととされるもの以外のものをいう。

==========================================================

「課税資産の譲渡等」に該当すれば、課税されることになります。

消費税法第2条1項9号(課税資産の譲渡等)に記載がありますが、

「課税資産の譲渡等」とは、「資産の譲渡等」のうち、非課税以外のものですね。

 

それから、

「課税資産の譲渡等」について、少し補足の説明をします。

消費税の課税対象となる国内取引の課税区分について以下のようになっています。

  A.消費税の国内取引の課税対象

    a. 10%課税(国税のみの税率は、7.8%)

    b. 食品低率8%課税(国税のみの税率は、6.24%)

    c. 0%課税(課税するのだが、税率が0%。俗にいう免税取引)

    d. 非課税(本来は課税すべきだか、非課税とするもの)

 

10%課税、食品低率8%課税、0%課税は、

課税資産の譲渡等に該当し、消費税が課税されます。

つまり

上記A.のa.b.c.に対して消費税が課税されることとなります。

 

 

登録免許税、印紙税の取扱についても触れておきましょう。

登録免許税等に充当するために受け取った金額の取扱について

消費税法基本通達10-1-4(印紙税等に充てられるため受け取る金銭等)に以下の通り記載があります。

==========================================================

消費税法基本通達10-1-4(印紙税等に充てられるため受け取る金銭等)

 事業者が課税資産の譲渡等に関連して受け取る金銭等のうち、当該事業者が国又は地方公共団体に対して本来納付すべきものとされている印紙税、手数料等に相当する金額が含まれている場合であっても、当該印紙税、手数料等に相当する金額は、当該課税資産の譲渡等の金額から控除することはできないのであるから留意する。(平11課消2-8により改正)

(注) 課税資産の譲渡等を受ける者が本来納付すべきものとされている登録免許税、自動車重量税、自動車取得税及び手数料等(以下10-1-4において「登録免許税等」という。)について登録免許税等として受け取ったことが明らかな場合は、課税資産の譲渡等の金額に含まれないのであるから留意する。

==========================================================

原則的には、売上請求金額のうちに

売上の相手先から受領した行政手数料である登録免許税等が含まれている場合であっても

その売上請求金額の全体が課税資産の譲渡等の対価の額になります。

 

例としては、

金融機関の振込手数料があります。

振込を振込依頼書により依頼するときは、印紙税法の17号の1の文書に該当し、

印紙税を納税することになっています。

金融機関は、振込手数料として依頼者に請求をするのですが

この中に印紙税は、×××円です!という明細を明示していません。

この場合には、売上請求金額の全体の金額が課税資産の譲渡等に該当しますよ!ということです。

 

ただし、

(注)書きにあるように行政手数料等に充てるため、

登録免許税等として受領したことを

売上の請求書等において明らかにしている場合には、

その登録免許税等の金額は、

課税資産の譲渡等の金額となりません。

その登録免許税等の金額を課税資産の譲渡等の金額から控除することができます。

 

理屈のまとめです!

理屈をまとめると、以下のようになります。

===============================================================

 消費税は、国内において事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供(以下、資産の譲渡等とします。)が消費税の課税対象となります。司法書士の先生が書類作成などのサービスを提供する場所、つまり事務所等の所在地は国内にあるため、国内取引となる役務の提供に該当し、消費税の課税対象となります。依頼を受けた登記の登録免許税の行政手数料を支払うために収入印紙が必要であったことを請求書や領収書において、司法書士の先生は依頼者に対して明示しています。依頼者が本来納付すべき登録免許税を司法書士の先生が立て替えて支払っているため、この場合の登録免許税の金額は、司法書士の先生にとっての預り金又は立替金(以下、立替金等とします。)に該当し、対価性がありません。したがって、立替金等に該当する登録免許税の金額は、対価を得て行われる資産の譲渡等に該当せず、消費税の課税対象外(不課税)取引となります。

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印紙代を立替金等として区分経理する場合

印紙代を立替金として区分経理した場合の仕訳を考えます。

上から下へ時系列で記載しました。

 

購入時:     立替金 300,000 / 現金預金 300,000   収入印紙を購入

請求時:     売掛金 410,000 / 売上高  110,000  依頼者に対し請求

                  / 立替金  300.000    〃

 

請求時又は決算時:売上高 10,000 / 仮受消費税 10,000 消費税等の振替仕訳

 

 

この会計処理のメリットとしては、

売上高から立替金の金額を確実に排除でき、

立替金分の収入印紙の出入りを把握できるのですが、

立替金を消去していく取引(消込の仕訳)が増加して

ちょっと手間が増えてしまうことでしょうか?

 

 

印紙代を立替金の区分経理をせず、合算で経理する場合

次に

立替金の区分経理をしないで、合算で経理する場合

(報酬の請求書において登録免許税等の金額を明示している前提です。)を見てみましょう。

 

購入時:     仕入    300,000 / 現金預金 300,000   収入印紙を購入

 

請求時:     売掛金   410,000 / 売上   410,000  依頼者に対し請求

 

決算時:     期首棚卸高 30,000 / 貯蔵品   30,000  期首残の収入印紙の金額

         貯蔵品   50,000 / 期末棚卸高 50,000  期末残の収入印紙の金額

 

申告書作成時:消費税の申告書の作成時において、以下の計算をします。

        1.消費税等処理前の決算修正後の売上勘定の金額

           410,000円

        2.売上勘定の金額のうち立替金の印紙代(課税対象外)

         (上記記載の報酬の請求書の「②登録免許税又は印紙代の金額」を事業年度分又は1年分を総合計する。)

            300,000円  

        3.課税資産の譲渡等の対価の額の計算(税抜金額)

           410,000円(上記1.)-300,000円(上記2.)=110,000円・・・(非課税売上がない場合は、この金額が

                                       資産の譲渡等の対価の額及び課税資産の                                              

                                       譲渡等の対価の額です。)

 

          110,000円×100/110=「100,000円」・・・原則課税の場合 消費税付表1-3 ①Bに100,000円を記載

                               簡易課税の場合 消費税付表4-3 ①Bに100,000円を記載   

 

 

この会計処理の特徴としては、

立替金の経理をしない分、日々の仕訳の手間がかからないのですが、

決算になって、登録免許税及び印紙代の金額を集計しなければ

ならなくなります。

 

 

 

最後に

司法書士の先生の登録免許税及び印紙代の会計処理について

みていきましたが、どの経理処理方法を選択するのか、

最終的には、司法書士の先生の本人にとって

どちらがメリットが大きいか?

ではないでしょうか?

参考資料として消費税の質疑応答集もあげておきますので

よろしければご覧ください。

 

 

参考資料

国税庁HP 消費税 質疑応答事例 嘱託者から受領する立替税金、手数料等の取扱い

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/14/08.htm

 



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