木野寿久税理士事務所


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美術品等の減価償却の取扱(特例的な取扱)【法人税・所得税】

2022/4/26

まえがき

今回は、美術品等の減価償却の取扱で

特例的な取扱を書いてみました。

 

この記事も書いていくうちに長くなってしまったので

細切れにアップしていきます。

美術品等の木野寿久税理士事務所のブログのリンクを

下に貼っておきますので

相互にご参照くださいませ。

 

木野寿久税理士事務所のブログ 美術品等の減価償却の取扱(原則的な取扱)【法人税・所得税】

https://kino-tax.com/blog/archives/6508

 

木野寿久税理士事務所のブログ 美術品等の減価償却の取扱(耐用年数と判定金額の消費税等)【法人税・所得税】 ※1

https://kino-tax.com/blog/archives/6613

 

 

 

美術品等の取扱の区分

原則的な取扱は、

木野寿久税理士事務所のブログ 美術品等の減価償却の取扱(原則的な取扱)【法人税・所得税】

https://kino-tax.com/blog/archives/6508

で説明していますのでご覧下さい。

 

下の図は、所得税法基本通達2-14、法人税法基本通達7-1-1を参考にして

木野寿久が作成しました。

美術品等の減価償却の特例的な取扱を

次のセクションで説明します。

 

 

 

 

 

歴史的価値又は希少性価値を有し、代替性のないもの

基本通達にも記載がございますが、歴史的価値又は希少性を有し、代替性のないもので

古美術品、古文書、出土品、遺物といったものが例示にあがっています。

 

100万円の金額基準は抜きにして、

この基準に該当すると、

非減価償却資産となります。

 

 

例えば、

平安時代に紫式部が書いた「源氏物語」の

写本(手書き。現代でいうところのコピー。)で、

鎌倉時代に書かれたもの、

この類のものが当てはまるのではないでしょうか?

 

 

 

美術品等で時の経過によりその価値が減少することが明らかなものとは?

時の経過にその価値が減少することが明らかなものとは、どのようなものなのでしょうか?

以下のポイントを押さえて判定するとよいと思います。

 

========================================

美術品等の価値減少が、時間の経過と価値減少との間に明らかに紐付きの関係があるか?

(簡単に言うと、時間がたつからボロくなって価値が減少するかどうか?です。)

========================================

 

 

法人税法基本通達7-1-1、所得税法基本通達2-14の「(注)1」に

時の経過によりその価値が減少することが明らかなものの例示が書かれています。

(なお、法人税法基本通達7-1-1の原文に木野寿久が「又は個人」を追加しました。)

1)から3)のすべてを満たすものが、時の経過によりその価値が減少することが明らかなものです。

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1)会館のロビーや葬祭場のホールのような不特定多数の者が利用する場所の装飾用や展示用(有料で公開するものを除く。)として法人又は個人が取得するもの

2)移設することが困難で当該用途にのみ使用されることが明らかなもの

3)他の用途に転用すると仮定した場合にその設置状況や使用状況から見て美術品等としての市場価値が見込まれないものが含まれる。

===============================================================

 

そこで、実際に例をあげて判定してみることにしましょう。

 

Ⅰ 東京都港区・東京臨海新交通臨海線日の出駅付近の防火扉に描かれた「バンクシー作品らしきネズミの絵」を

  東京都が取得した場合の減価償却資産、非減価償却資産の判定します。なお、東京都は地方公共団体ですが、

  仮に一般法人だと思って判定してみてください。取得価額は、防火扉の絵の保存費用に100万円以上を費やしているものと

  仮定してください。

 

  1)の要件の検討

    不特定多数の者が利用する場所の装飾用や展示用(有料で公開するものを除く。)の要件を検討します。

    「バンクシー作品らしきネズミの絵」を取得した法人が、複合ビルのホールに無料で展示用として公開した場合には、

     1)の要件を充足し、有料で展示用として鑑賞させた場合には、1)の要件は充足しないことになります。

     また、応接室など不特定多数の者が出入りしない場所に装飾用として展示することは、1)の要件を充足しないことになります。

 

  2)の要件の検討

    移設することが困難であり、当該の用途にのみ使用されることが明らかなもの、であるかの検討ですが、

    この作品は、すでに作品保全のために美術鑑賞用の用途に転用しています。

    移設することができるため、2)の要件に該当しません。

 

  3)の要件の検討

    防火扉の絵から鑑賞用の絵に転用したバンクシーのこの作品は、

    美術品等として市場価値が見込まれないものとは言えず、

    むしろ、美術品等としての市場価値が認められるもの思われます。

    したがいまして、3)の要件も充足しません。

 

  結論)

    1)から3)の要件をすべて充足することはできず、

    取得価額が100万円以上であり、

    時の経過によりその価値が減少することが明らかではないため、

    美術品等の減価償却資産に該当せず、

    減価償却を行うことはできません。

 

 

 

 

美術品等で時の経過によりその価値が減少しないことが明らかなものとは?

美術品等で時の経過によりその価値が減少しないことが明らかなものは、減価償却資産に該当しません。

時の経過によりその価値が減少しないことが明らかなものは、

どのような美術品等なのでしょうか?

 

それは、単価が高い素材でできており、

その素材の経済的価値が大部分を占める美術品等は、

時の経過によりその価値が減少しないことが明らかな

非減価償却資産になります。

つまり、非減価償却資産に該当し、減価償却できません。

 

例えば、

取得価額100万円未満の純金製の小型仏像は、

純金という経済的価値が高い素材でできており、

時の経過によりその価値が減少しないため、

取得価額が100万円未満であっても

非減価償却資産に該当し、減価償却をすることができません。

 

それから、当然なのですが、

純金製小型仏像が、

仮に取得価額100万円以上であったとしても

同様に非減価償却資産となります。

 

純金の小型仏像を溶かしても、純金としての価値は、

それなりにあると思います。

金の時価の変動は、ありますが、

時間の経過による価値の変動とは関係ないですね。

 

 

まとめ

 

このように考えてみると、

取得価額が100万円未満の一般的な絵画は、

時の経過によりその価値が減少しないかもしれないが、

時の経過による価値の減少しないことが「明らか」ではないので、

減価償却資産に該当し、

減価償却ができることになります。

 

細かいことは、面倒なので、

上記のように「明らか」でないものは、

大雑把に取得価額100万円未満で判定しています。

ちょっと、言い回しがまわりくどいですね。

 

 

参考文献 

法人税法基本通達逐条解説 十訂版 高橋正朗編著 税務研究会

所得税法基本通達逐条解説 令和3年版 樫田明・今井慶一郎・佐藤誠一郎・木下直人 共著 大蔵財務協会

国税庁HP 個人課税課情報 5号 法人課税課情報 5号 美術品等についての減価償却資産の判定に関するFAQ 平成27年5月

 

※1 2022年4月27日 午前8時において 追加しました。

 



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